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BRANDVol.04 『変わらない"白シャツ理念"とデザイナーと共につくる新しいcontardi』 contardi 来日インタビュー

 
 「光のクチュリエ(ドレスデザイナー)」と称され、個性的でエレガントなコレクションを発表し続けているイタリアの照明ブランドcontardi(コンタルディ)。高い技術と選び抜かれた上質な素材、機能性においても妥協することのないその姿勢により成長を続け、2015年にはイタリア国外初の拠点となるニューヨーク支店を出店、2022年のブランド革新を経て2023年にはミラノで”照明通り”と呼ばれるCorso Monforteにショールームを新たにオープンし、現在ではイタリアを代表する照明トップブランドとして確固たる地位を築いています。今回は創業者の一族で、同社のセールス&コントラクトマネージャーであるFederico Chinazzi氏の来日にあわせ、contardiについてお話しを伺いました。


Federico Chinazzi ⽒。ルミナベッラ⼤阪ショールームにて

 

contardi誕生と祖父の代から続く長い歴史

 contardiとしてはじめてオリジナル照明を発表したのは2006年になります。しかし一族と照明の関係は古く祖父の代から始まっており、その長い経験と歴史が今につながっています。祖父のMichele Carcanoは1940年代からStilnovoというイタリアの有名な照明メーカーで長年デザイナー&エンジニアとして照明の開発に携わっており、のちに息子であるAchille(Federicoの伯父)がcontardiを立ち上げた際は経験豊富な祖父の協力が大きかったと言います。
 1970年代後半に主にホテル照明などの外注先として事業をスタートし、その経験をもとにOEM(受託制作)としてARMANI/CASA, B&B Italia そしてGIORGETTIなどのイタリア有数の家具メーカーの仕事を受けるまでに成長しました。長年他社ブランドの照明制作に徹していましたが、2006年に自分たちのオリジナル商品を持ちcontardiブランドを前面に出していく事を決意、ホテル向けの商品が載った1冊の薄いカタログを作ったことが現在の照明ブランド”contardi”の始まりとなります。

  

 「白いシャツのように気軽に身につけられるものをより上質に」

 contardi創業当時より我々がもっとも大切にしていること、それは”シンプルでありながらも質の高いものを届けたい”という思いです。それを「白シャツ理念」と呼んでいますが、「白いシャツのように誰もが気軽に身につけられるものをより上質に」という考えです。シンプルでいつの時代にも日常によく馴染むものを丁寧に作るというのがコンセプトにあります。


 

プロジェクトからコレクションに。デザイナーのクリエイティビティを生かした個性豊かな照明たち

 コレクションには自社デザインのものもありますが、デザイナーと組んだプロジェクト案件から生まれた照明もたくさんあります。例えば現在でも人気の高い“Muse”シリーズは、もともとフランスのモンテカルロにあるLe Meridienという有名なレストランのプロジェクトとしてデザイナーのTristan Auerと共に制作したものでしたが、この製品がとても素晴らしい出来だったため我々もデザイナーも是非カタログコレクションに追加すべきだという思いで一致、のちにその運びとなりました。
 このように、プロジェクトで秀逸な製品ができたと確信を得たとき、デザイナー同意のもとカタログへ追加し少しずつコレクションを増やしてきました。プロジェクト案件を成功させることはcontardiにとって大変重要になります。“Muse”同様プロジェクトによって誕生したシリーズに“Coco”や“Coconette”がありますが、これらもまたカタログに追加され15年以上になりますので、contardiの歴史を物語る大きな財産だと言えます。


⽇本でも⼈気の”Muse lantern”。ハンドル部分にはシルクのロープがしつらわれている


 プロジェクトからコレクションに加わるケースについてお話ししましたが、近年ははじめからコレクションとしてデザイナーに依頼することが多くなっています。その場合、まず社内の営業やデザインチームを交えて分析からはじめます。時にはルミナベッラのようなパートナー会社から得た情報なども取り入れつつ、どのような製品がいいか打ち合わせをし、それらをもとにデザインコンセプトを練り、ざっくりとしたイメージをデザイナーに伝えます。そしてデザイナーからの提案をもとに一緒にブラッシュアップさせていきます。
 幸い、コラボレーションするほとんどのデザイナーは我々についても知っていて、ブランドフィロソフィーについてもよく理解してくれていると思います。何か条件を設けたり制限したりすることでデザインの可能性を潰したくないという思いから、細かいオーダーをするというよりはデザイナーの提案に柔軟に対応していくスタイルを取っています。もちろん我々の既存のコレクションラインに沿ったものであることが望ましいですが、それでもデザイナーのクリエイティビティを狭めることは決してしたくないと思っています。

 

 

Servomutoとの出会いと沢山の時間をかけ誕生した”Calypso”

 デザイナー達とは時間をかけ研究や話し合いを重ねますが、とくに“Calypso”をデザインしたServomuto(セルヴォムート)とは沢山の試作品を作って一緒に完成させたという経緯があり、我々もその共同作業を楽しんでいます。ミラノを拠点におくServomutoはイタリアでも独特の生地使いで有名なデザインユニットでした。彼らは色使いや素材の選び方もとても斬新で遊び心があり、ファブリックは彼らのスペシャリティだと感じています。我々がファブリックを得意とするブランドであったことに加え、当時のディレクターだったMassimiliano Raggiの勧めによりServomutoの二人と一緒に組むことになりました。
 初めは“Calypso”、そして“Lagoon”へと続く関係ですが、彼らとはいつも楽しくコラボレーションしており、常に刺激を受けています。そして、まさに今“Calypso”のナチュラルカラーシリーズを進めているところです。彼らとは10年程の付き合いになりますが、これからも沢山一緒に仕事をすることになるでしょう。


デザインユニットServomuto(左)と様々な模様の⽣地を巧みに組み合わせたCalypso シリーズ(右)


 

―ファブリックの高い裁縫技術により「光のクチュリエ(ドレスデザイナー)」と称されるcontardi。近年のコレクションではファブリック以外の素材も積極的に取り入れているように見えますが、なにか変化があったのでしょうか。

 長年の実績の中でcontardiはファブリック、メタル、大理石、ガラスなど様々な素材を採用してきました。そのなかでもやはりファブリックシェードは自社工場に専門のチームがあり、我々の専門分野と言えるでしょう。ただ、2022年にブランドアップデートを行い、それまでの装飾的なデザインコンセプトに建築的なエッセンスを追加することに決めました。「Decorative & Architecture」をテーマに掲げ、装飾としての照明だけでなく実際に機能的に照らす事を理念に加えたのです。
 このブランドアップデートではロゴも刷新、高品質なLED光源の自社開発に注力し、さらに国内外の有名デザイナーたちと組んで多くのアイテムを新作として追加しました。これまでのブランドイメージを一新すべくあえてファブリックを使わないデザインの新商品を押し出し、今ミラノで最も注目されているデザインユニットStudiopepe(スタジオぺぺ)にデザインを依頼しました。“Stick”は一見シンプルにみえますが、彼らの持っている独自のデザインセンスによって、前衛的で美学と機能性を融合させたStudiopepeならではのオリジナリティ溢れる照明が完成しました。


Studiopepe デザインによる”Stick”シリーズ。 下⾯にセットされたリブ状のアクリルディフューザーがアクセントに

 そのような経緯もあり、近年クチュリエという表現は前面に出さなくなりましたが、ファブリックを得意とし、ファブリックを使用した照明を多く取り扱うブランドとして、光のテーラリングをするという理念は今なお大切にしており、例えば“Fly”のようなメタリックで直線的なデザインのなかにファブリックのエッセンスを入れて柔和でエレガントな雰囲気を演出することもまたcontardiの強みだと思っています。


 

ニューヨークとミラノにショールームオープン。さらに世界へ

 2022年のブランドアップデートのタイミングでこれまでオフィスのみだったニューヨークに新たにショールームを出店、その後今現在一番大きなマーケットの一つになりました。2023年にも更なる一歩を踏み出しており、ミラノで“照明通り”と呼ばれているCorso Monforteにもショールームをオープンしました。イタリア有数の照明ブランドが軒を連ねる場所に仲間入りすることでより多くの場面で国内外に向けてアピールできると考えています。
 照明には様々な規約があるので、他国での販売は簡単ではないとよく理解しています。その課題を乗り越えるためにルミナベッラのようなパートナーとの信頼関係は大変重要になります。そして一緒に成長していくことが望ましいです。世界はとても広くて我々はその端っこにいますが、今後もヨーロッパ内だけでなく世界各国へ進出していきたいと考えています。ルミナベッラとの関係のように、重要な協力会社をより多く開拓し、多くの国でcontardiの照明が広まれば嬉しいです。


 

 

 ― 最後に日本の皆さんにメッセージをください

 我々にとって日本は地理的にも文化的にも遠い国ですが、日本のショールームに我々の照明が美しく飾られているのを見た瞬間とても嬉しい気持ちになりました。同時に、日本のお客様にも我々の照明が求められている状況にも大変嬉しく思っています。たくさんの照明ブランドが色々な商品を出している中からcontardiアイテムを選んでくださり感謝の気持ちでいっぱいです。これからも日本で皆様とご一緒できることを楽しみにしております。ARIGATO!

フロアスタンド”Cube”と新しいロゴマークとともに


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